2006年01月24日

BOTは何故いけないのか

マビノギGM 彩庵氏の日記(1/12付)
テイルズウィーバーGM ふもふも氏の日記(1/12付)

なお、1/12以降の日記もコメント欄とともにご参照されたい。
この日記を見るにつけ、すぐBOTについて書きたかったんですが、二週間かかってしまいました(汗)。上記日記に寄せられているコメントを見てもわかるように、「BOTは何故いけないか」ということについて、オンラインゲーム運営にとっていつでもユーザーが口にする問題にしては、誰にでもわかりやすい論調で運営サイドからの結論を打ち出すことができないままでいるのだなぁ、という気がしています。

というわけで、今回は「BOTは何故いけないか」ということについて、実はそれ自体を語るのも雲をつかむような話だということを、書いてみたいと思います。
まず、『BOT』とは何かというと(何度も書いている気がしますが)、「自動キャラクター操作プログラム」および「それによって操作されているゲーム内プレイヤーキャラクター」を指します。BOTプログラムは、色々な状況判断(条件分岐)を行い、モンスターを攻撃したり、モンスターを倒した後にドロップしたアイテムをゲットしたり、ゲットしたアイテムを商人NPCに売ったりという動作を自動的にして、普通の人間だったら腱鞘炎になりそうなクリクリクリックの連続操作を簡略化してくれ、しかも疲れ知らずで長期に渡って反復動作してくれます。

似たような言葉に『マクロ』というものがありますが、これは人間ができる操作を手順を追って自動化するだけのものととらえて良いでしょう。例えばいきなり強力なモンスターが現れ、操作しているキャラクターをタコ殴りしはじめたら、マクロの場合はアホみたいに同じ動作を繰り返すだけなのでやられっぱなしになりますが、BOTになると、さきほど書いたように状況判断によってその時々で動きを変えることができ、なんらかの反復動作中に妨害者が現れても応戦したり逃げたりできるのです。もちろん、状況判断をするプログラムを緻密に組み立てる技量は必要なのですが……。

オンラインゲームに詳しくない人からすれば「なんだ、便利なプログラムじゃん。でもプログラムに代行させて、当の本人がプレイしないんじゃせっかくのゲームが楽しめなくない?」なんて話も出てしまうほどなわけですが、ネトゲに慣れているプレイヤーからすれば「何その勘違い発言」となるわけですね。

不思議なことに、自分がプレイするからこそ楽しいハズのゲームが、自分がプレイしないでBOTを使って効率的にやっちゃうほうがいい、という「妙な」価値観が発生している状況がネトゲ(まぁ、MMORPG)なんです。要はプレイ目的がズレちゃってきているんですね。ここらへんが判断に困る理由の一つです。


「通常プレイヤー」と「BOT使用者」がいたとすると、BOTを使用すれば通常より短い手順でレベルアップしたりゲーム内で金持ちになったりできます。BOTにさんざん稼がせて、最強になったところでBOTではなく人がプレイするようにすると、どうなるでしょう? 端的に言えば、強くなったキャラクターを見せびらかすときの対象は「通常プレイヤー」です。また、獲得したアイテムを現金で売りつける(RMTする)としたらその対象は「通常プレイヤー」です。こういった形で、BOTが稼動時に周辺プレイヤーに迷惑をかけるということ以上に、BOT使用によって得た強いキャラクターやらゲーム内アイテムやらを用いてBOT使用者が行う「仕打ち」を通常プレイヤーが享受しなければならない羽目になることがある、あるいはついつい享受してしまう、というところに、この問題をややこしくしているポイントがあると僕は考えています。

「ネトゲナウ創刊号」をご覧になられた方はここでピンと来ると思うのですが、やはりこれは多くの典型的なMMORPGゲームデザインが、『自己顕示欲』『先行者利益&時間等価』『巧拙出がたい平凡さ』を生み出しているからにほかなりません。

BOTは何故いけないか。前出の日記にはいくつか整理されて書かれている部分が見受けられます。寄せられたコメントの多くは、自分の利害の主張や運営への不満を結論にしようという意図で書いているものも多く、BOTがなぜいけないかという質問自体も言葉足らずなところがあったとはいえ、ちょっとでもGameMasterやユーザーサポートをやったことがある人にとっては、(大切にすべきユーザー意見とはいえ)読むに堪えないものなんじゃないかなと思いました。


運営側として「BOTが確実に問題となる点」は下記の2つです。

・BOTプログラムが、ゲーム会社の著作物であるクライアントソフトウェアを改造したものであったり、クライアントソフトウェアへ干渉することで動作するプログラムであったりするが、そのプログラムがクライアントソフトウェアを(通信上で)詐称した上で、サーバーに対して予期せぬ通信データの受送信を行い、問題引き起こすことが予測される点。

・サーバーでもダウンさせられない限り、BOT使用者に対し、現実の法律によった対処ができない点。BOTの行為がゲームのバランスを崩し、顧客が離れた(営業的損失を蒙った)ということがあったにしても、誰も明確に証明できないため、サーバーダウン等の大義名分が必要になる。


次に「BOTが厄介な点」は下記です。

・ゲーム内経済システムが破綻する恐れがある点。BOTがバシバシとモンスターを倒すと、アイテムがドロップしまくり、ゲーム内貨幣発生しまくり、という状況になるため。そもそもゲーム内通貨がインフレ状態になった場合の対策(NPC商店価格の変動など)が整備されていない。

・BOT騒ぎが起こるとユーザーオピニオンがマイナスイメージ方向にブレてしまい、収拾がつかなくなる点。

・無言で反復動作をしているキャラクターが、そういう人が動かしているプレイヤーキャラクターなのか、規約で禁止しているBOTプログラムか判別つきにくいため、ゲーム内サポートに混乱が起こる点。

・BOTプログラムによる自動操作キャラクターが大量発生した場合、仲良くプレイしている人々が迷惑に思う点。


そして「BOTが感覚的にムカつく点」は下記です。

・大量に出現すると画面描画が遅くなったり、PCの処理能力が追い付かずに遊びづらい。

・人が操作しているのではなく、プログラムが操作している点で生意気。

・プログラムのほうが人の操作より高度で正確で効率的な動作を反復して行う点が腹立つ。

・BOTが集めたゲーム内貨幣やアイテムを現金に換金(RMT)して儲けている奴がいて許せない。

・自分が操作してプレイするのがバカバカしくなってくる。

・利用規約にBOTやマクロプログラムの使用禁止が謳われているのに、運営会社がこれらを適確に取り締まらないのがけしからん。RMTにも利用されている。


と、順番に書いたことでわかると思うのですが、基本的に運営会社が最優先として対策しなければならない(守らなければならない)点は最初に挙げた2つきりなんです。

逆に、プレイヤーからすると、最も直接的に感じられるのは「ムカつく点」であり、先ほどの運営側の考えるポイントを比べると、かなり乖離があることがわかります。
プレイヤーがBOT問題の解決によって唯一求める結果は「BOTが目の前から全ていなくなること」であり、確かに最終的に行き着くところはBOTが根絶された世界という意味で、運営側思惑とプレイヤーの希望は一致してみえますが、概ね運営企業がとる方策というのは、プレイヤー視点からの解決とは程遠いものからスタートするものだと言えます。

色々な場面でよく使われる言葉に「富士山を山梨から登るか、静岡から登るか」という類のものがありますが、別の麓から登っている面々のことは互いに考えないというのが常ですので、なるべく一緒に登っていける方法を模索するか、互いに「今、何合目だよ〜」という情報を公開し合うことが大切だと思うのです。

そういった点でユーザーコミュニティと、運営側の情報開示は、切っても切れない仲なのだなぁ、とか思う塩肉でした。
ただでさえとりとめのない文章を毎回書いているのに、ことBOTとなると、かなり神経使ってしまう上にこの程度(汗)というのはどういうことなんでしょうか、頑張れ自分、みたいな〜。
[ブラキン] [天道] posted by 塩肉(Sionic) at 16:40 | TrackBack(0) | インチキ各種
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