2005年12月17日

できることはできてしまうよMPK

FF XI、モンスタープレイヤーキラー対策などアップデートを実施(Slash Games)

ちょっと前の話になりますが、ファイナルファンタジーXI(FFXI)で、MPK対策ということでアップデートに伴いモンスターの挙動が変更になったというお知らせがありました。

MPKというのは「Moster Player Killer(またはKilling)」の略で、モンスターを使って、他のプレイヤーが操作しているキャラクターを死に至らしめる、というものです。とりわけMMORPGで用いられる操作方法ですが、大抵下記の手順だったりします。

1.まず自分のキャラクターでモンスターを攻撃したり、不用意に近づいたりします。
2.するとモンスターは怒って自分の方に向かってきます。
3.そして、モンスターに追いかけられつつ、他のプレイヤーキャラのところへ行きます。
4.他のプレイヤーキャラの近くまで行ったら、魔法の呪文でもなんでもいいので、パッと消えてどっかへ行ってしまいます。
5.すると、目標を失ったモンスターは怒りのやり場を失ってウロウロしたりしますが、近くの他のプレイヤーキャラを見つけて八つ当たりが如く攻撃します。
6.もしボーッと立っているようなプレイヤーキャラだった場合、モンスターにボコボコにされて天に召されます。

以上です。ただ、ゲーム操作の流れとしては、「モンスターをクリック」→「走る」→「他のプレイヤーキャラになすりつける」→「自分はトンズラ」程度のことでできてしまうのがほとんどなので、「モンスターが怒って向かってくる」とか「怒りのやり場を失ってウロウロする」とか「八つ当たりが如く」なんてことは視覚的に表現されたりすることはほとんどなく、脳内補完してください(汗)。
また、モンスターの習性に細かい設定を持たないゲームでは、近くにプレイヤーキャラがいても、それから殴られない限りは攻撃態勢をとらない場合もありますから、ゲームシステムによりけりということがいえます。


で、今回FFXIでは、「元々攻撃を仕掛けてきたプレイヤーキャラを見失った場合、モンスターは消失し、生息場所へ自動的に帰還する」という方法をもって、MPKによるプレイヤー間トラブル(というより、やられたほうの恨みつらみだけが大きいわけですが)を解消したわけです。

MPKというのは、それをすることの是非を論じる前に、「ゲームシステムとして出来てしまう」ことを認めるところから始めなければ、永遠に解決しない問題だと思っています(MPK以外でもそうなのですが)。
プレイヤー同士の「ケンカ・コミュニケーション」の手段としてゲームシステムがMPKを許容しているというのでしたら、それはそういうゲームとしてプレイヤーは挑むべきであって「MPKされたのでなんとかしてください」というプレイヤーから運営側への苦情は意味を成しません(むしろ苦情を出したことを友達に知られたらバカにされてしまうでしょう)。

しかし、プレイヤーが多くなればなるほど、そういうゲームであると割り切れないプレイヤーも一定数増えてきます。ゲームの運営側も商売ですので「なら辞めればいいじゃん」とは言えませんから、仕様がもとで客を失うという事態は避けたく、利用規約や運営ポリシーに「MPKは禁止」という文言を作ってしまいます。これが、大抵のオンラインゲームで「グレーゾーン」となり、運営側自ら首を絞めていることは否めません。

「ゲームシステムとして出来てしまう」ことを、プレイヤーのプレイマナーに任せてしまうと、禁止行為者を野放し(黙認とはニュアンスが違います)にするのか、適切な方法で明確に捌いていくかのどちらかしか許されません。禁止にしておいて違反者を野放しというのではカッコがつきませんから、必然的にGame Masterあるいはインゲームサポートキャラクターを用いて、禁止行為者を活動停止にしていくかないですよね? けれども、MPKは「ゲームシステムとして出来てしまう」ものなので、それを適確に検知するシステムは管理側にはありません。何故って、正常な動作をどうやってわざわざ検知しろと? 異常でないことを自動で検知するというのは難しいことです。

MPKというのは「された側の認識」一つで、「モンスターに追いかけられた挙句に帰還アイテムで逃げ切ったプレイヤーキャラがいて、たまたま手負いのモンスターが標的をこちらに向けた」のか、「意図的にモンスターをなすりつけられた」のか変わるからです。MPKをした方の行動は事実として(データの流れとして)なんら異常はなく、意図したか意図していないかをジャッジする方法は全くありません。MPKを受けた方の声だけが大きくなるのはこのあたりに問題があります。


今回FFXIがシステムに手を加え、「標的を失ったモンスターは消失」という仕様にしたのは、考えうるシステム的対応の中ではどちらかというと「苦肉の策」に近いものだったのではないかと思います。
本来は、MPKというのはゲーム世界内で「有り得る出来事」です。モンスターがいるという非現実的な幻想世界なわけで、そこに凶暴なモンスターがいるんですよ。周囲の人間なんか食い散らかして当然。それが物語の中の真実ってもんだと思います。

しかし、これまたゲームだけに、モンスターを倒すと経験値やらアイテムやら通貨やらが手に入るわけですから、狩り場を独占したいと思う奴がいたり、周囲のプレイヤーキャラを排除したいと考える奴が出てくるわけです。そういった「中の人」の欲求が「モンスターにプレイヤーを襲わせてしまえ」という悪知恵を生み、それを実行させてしまうんですね。単に愉快でMPKをやってる人もいるでしょう。


一昔前の児童小説にはよく「野良犬をけしかける」なんて場面が出てきたものですが、あれはリアルMPKの場面だといえます。まあ、けしかけられて、逃げるか、噛まれないように野良犬の鼻面を蹴り上げるか!?という状況は、体感することまかりならないわけで(野良犬は保健所に連れて行かれる現代ですから)、MPKはプレイヤーにとってリアリティのない話なんですよね。それくらいでメゲんなよ、と言いたいところですが、前述のとおり、MMORPG内の世界では「他のプレイヤーを排斥して自分たちだけ楽しむ」人々が時として跳梁するわけで、難しいものです。

「ゲームシステムとして出来てしまう」MPKを、一つ、MMORPGの(ファンタジー世界の)現実として残しておきたいというのはゲームデザイナーの本心ではないかと思いますが、必ずしもゲーム世界になじまないまま喜怒哀楽を表に出すプレイヤー(=顧客)を抱え、運営していかなければならないという状況では、システム的にできないようにしてしまうか、今回のように苦肉の策、すなわち「ゲーム内でのつじつまを損なう(だって今晩の餌を見失ったからって、消えて戻る動物がどこにいますか)」方法で解決せざるを得ないのは仕方ないことだと思います。

MPKを仕様と定めるなら、MPKを利用して他者を排斥する悪質プレイヤーにどう対処するかを求められ、MPKを禁止するなら、システム的に処置されることを求められる。MMORPGの運営というのは、どの方向に行っても永遠に求め続けられるないものねだりのスパイラルのようなものです。

「他のプレイヤーから通報があったら警告」「Game Masterが発見したら警告」というような、運営が知らないところで続けられていたらそれでいいの? というグレーゾーンを作ることで、そういった方針の運営に対して嫌気が差すプレイヤーがいるのも事実です。いろいろなゲームがそれぞれ似たような問題を抱えていると思いますが、それぞれのゲームに合った文化で、できるだけグレーゾーンを廃していく方向を打ち出していくしかありません。それは問題となる行為を公式的に認めてしまうか、そうでなければシステムで対処するかの2つくらいでしか、ユーザーに答えを出せないものなんだと思います。


さて、今回MPKを題材にしましたが、僕の好きなSealOnlineで時折話題になる「ワンパントレイン範囲攻撃騎士」の問題も似たようなことなわけです。モンスターを一回殴って(ワンパンチ=ワンパン)何匹も連れ(列車みたいだから「トレイン」)、ある程度集まったところで範囲攻撃で一網打尽。範囲攻撃のできる騎士がモンスターを独占してウマー、というやり口は、システムでできちゃうんだから、そりゃしょうがないでしょう。

何が問題かというと「周りに他のプレイヤーがいるところで節度なくそれをやる」というプレイマナーの問題でしかないんです。でも、ゲームの世界の中に入ってまで説教されたくないというプレイヤーの気持ちもわかるし、プレイマナー違反のプレイヤーによって、他のプレイヤーが嫌気さしてゲームを止めるようなことがあっては運営側の死活問題です。放置すれば「運営側は禁止行為者も客だから止められないに違いない」と邪推され、徹底的に取り締まればゲームとしての面白味を損なう。アンビバレントですね。

ワンパントレインをシステム的に改善するとしたら「3匹以上トレインしたら、3匹のモンスターが合体してプレイヤーキャラをタコ殴り。その間反撃ほぼ不可能」などの「ゲームっぽいシステム」を搭載するくらいしか僕には思いつきません。トレインして倒したモンスターからは経験値が入らない、などというつまらない制約のゲームは、やりたくないですもの。


というわけで、小学生のころ、野良犬をけしかけられたことのある塩肉でした。
(マジ逃げた。食われるかとオモタ。)
[ブラキン] [天道] posted by 塩肉(Sionic) at 17:34 | TrackBack(0) | ゲーム
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